JFBハノイ日本語教育センター 3期生
 レティ  キム  フエ

    皆さんは知り合の人達の中にエイズになった人がいますか。私は家族にはいませんが知っている人にはいました。高校の先生です。その先生はご主人に移されたのが原因でエイズになりました。先生の家族はご主人が社長で子供が一人います。先生はエイズになったけれども私達も他の先生も全然知りませんでした。先生は普通のように授業をしました。でもある日先生がエイズになったと言ううわさがどこからともなく早く学校にまで広まりました。学生はそのことを聞いてとてもびっくりしました。そして先生に対する態度がかわりました。授業を受けたくないことや一緒に話したくないことなどをはっきり顔に現す人もいました。偏見を持つ気持ちがありました。

   一方他の先生方はその気持ちが全くありませんでした。だから私達の態度を見て許しませんでした。校長先生は私達に「あなたたちは中学校からエイズのことを教えてもらいましたね。エイズの原因、エイズを予防する方法、それからエイズになった人に対しても離れたり軽蔑したりしてはいけないとわかったはずです。どうしてわかっているのにそんな行動をしましたか。エイズになられた先生は皆さんに熱心に教えてくださって、一度たりとも悪いことをしませんでした。それなのに皆さんは先生のような人もエイズだからといって離れたり軽蔑したりするんですか」と話しました。

   言われて私達は先生ごめんなさい、私達は悪いです。これから絶対しませんと謝りました。その時から先生と自然に接して楽しく授業を受けました。でも残念なことに三年後に先生は亡くなってしまいました。
悲しいことですが今エイズを持っている人は少なくないと思います。今年の八月までにベトナム全国で約一万四千人がエイズになったそうです。ハノイでは七百人ホーチミンでは二千六百人です。日本では九十八年のエイズの患者は約二千人だそうですね。ベトナムよりずっと少ないですね。

    エイズはまだ治らない病気ですから一番良い方法は予防することだけです。予防する方法は皆さん誰でも知っていると思います。だから私はここで皆さんに訴えたいのは前の私達のような偏見をなくすことです。今エイズのように治せない病気はガンです。でもガンに対しては偏見がありません。ただかわいそうだと思うだけで、悪いことをしたとは思いません。でもお酒をたくさん飲んでガンになることもあります。ガンも死ぬことを待つだけですからエイズと同じじゃないですか。どうしてエイズにだけ偏見を持つのでしょうか。

    皆さんはエイズになった人は麻薬を打ったとか店の女の子と一緒だったとかあまりいい人ではないと思うかもしれません。でもその中に私の先生もような人もいると思います。むしろ多いかもしれません。だから偏見を持つよりはその人達に自然に接して助けてあげた方がいいと思います。高校の時私達は偏見をなくすことができました。ですから皆さんもきっとできると思います。

    私は将来医療の世界に進みます。たから今エイズのことも考えています。私達は同じ人間ですからいつも助け合うべきです。エイズの患者に「心配しないで人生は長いか短いか別にして最後まで自分らしい生活をすごすことが大切ですよ」と言って助けてあげたいです。できるなら、今から皆さんエイズの偏見を捨てましょう。


フエさんへ                      まき(大学生:言語聴覚療法士志望)

   フエさんの原稿を読ませていただきました。
 率直で、わかりやすくて、具体的で、とても良い原稿だと思いました。
   私は長いこと英語を勉強していますが、これほどうまく英語で表現できないかもしれません。感服!です。フエさんの原稿を読んでいて、いろいろ考えさせられたので、私もエイズについて書いてみたいと思います。

 エイズ問題は日本でもタイムリーな話題です。先日、献血された血液からのエイズ感染が報道されたばかりですね。でも、日本人の多くはエイズに対する知識をあまり持っていないと感じます。今、エイズについて語れる日本人はどれだけいるでしょうか。エイズについて実は良く知らない、という事実がエイズ患者への偏見の原因だと私は思っています。

 フエさんの原稿にもあるように、日本人のエイズ罹患者は約2000人です。この患者数の少なさが、日本人にエイズを身近な病気として感じさせないのかもしれません。

 でも、一番大きいエイズへの無関心さは、「悪いことをしなければ自分はエイズにならない」という考えから成り立っているように感じます。そんなことは、ないんです。先日のニュースのように献血された血液の中にHIVが潜んでいることがあるのですから。フエさんの原稿にあるように旦那さんからうつされることだってあるのですから。「感染するような悪いことをしなければいい」という考えは、確かにエイズ予防にはなっているのですが、これが「エイズに感染した人はきっと悪いことをしたんだ」という偏見につながるのだと思います。

 本来はエイズは死に至る病ですから、ガン患者と同じようにターミナルケアが必要です。ケアされることはあっても、差別されるべき対象ではありません。たとえ、本人に感染の責任があったとしても、病気になった本人に、その責任を問うことの無意味さは言うまでもないと思います。エイズはあくまでも病気のひとつであり、エイズ罹患者を目の前にして差別するのは、エイズに対する知識のなさを表しているようなものです。エイズに感染したことで職を追われたり、離婚問題が起きたりするのは悲しい事実です。

 私も医療に携わっていこうとする学生の一人として、病名に翻弄されることなく、命の短さを自覚した病と戦う患者として、エイズ患者に接していきたいと考えています。

 少々まじめに書きすぎましたでしょうか…。(^^;
 もし、このMLがハノイにも届いているのなら、フエさんに「私も同じ意見だよ」と伝えてください。おそまつながら、私の応援メッセージです。


フエさんからのお礼の手紙

 まき様へ
 私のスピーチのことについてまきさんの意見を読みました。まきさんの考えは私との同じで嬉しかった。でも5分以内で時間が短くて全部言いたいことを言えませんでした。それに私は日本語がまだまだなので良い原稿とは言えませんね。
 前原稿を書いた時、エイズの患者の数を調べたらベトナムは日本より何倍も多いことは私に驚かせました。日本社会の方が発展しているのにね。ベトナムでは男女の関係は厳しく見られているから、原因は麻薬だと思います。でもこちらでは今エイズを予防したり、エイズの偏見をなくしたりするために色々な活動をやっています。だからこれからその数は減るでしょう。

 私はまきさんと同じで将来医療の世界にすすむからこのことを関心深いのはなんとかわかるでしょう。今度の日曜日私は一級能力試験をうけます。合格できたら、1月の中旬位い日本に行って入学試験を受けます。日本人と同じ試験で大変ですがぜひ頑張ろうと思います。また機会があれば直接一緒に話したいと思います。

 こちらからは返事が遅くなりまして、すみません。
   ではまた後で、
                                      
    フエ


再びフエさんへ                      まき(大学生:言語聴覚療法士志望)

まきです。

 フエさんのお手紙さっそく読みました。
 返事がいただけるとは思っていたなかったので感動してます!それにしても、フエさんは日本語が上手ですね。
 日本語しか話せない書けない自分が恥ずかしい…。

 偶然ですが、今日12月1日は「世界エイズデー」です。新聞各誌でエイズの記事が今日は一斉に載っていると思います。日本は、残念ながらHIV感染者は増加の一途をたどっているようです。厚生省エイズ動向委員会の発表ではHIV感染者は8月末の時点で4671人。実際は、その10倍程度と予想されています。
 私もエイズ専門化(?)ではないので、くわしくはお手元の新聞を読んでいただけたら、と思います。

 フエさんの日本語一級能力試験の合格を祈っています。志あるところに成功あることを信じて、頑張ってください。
 
 まきでした。


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エイズの偏見を捨てよう